カラビナのパワーポイントって言葉聞いたことあります?今回はそれについて書いてみます。カラビナを理解するうえで重要なキーワードです。
パワーポイントってなんじゃろか?
パワーポイントってのは、一番わかりやすい説明は「パワーポイントを上下に引っ張るとメジャーアクシス強度になる」という言い方ですかね。このイラスト見てくれたら一目瞭然でしょう!
上記イラストの赤丸がパワーポイントです。ちなみにこのパワーポイントっていう言い方、私が勝手に名付けただけです。より正確な用語をご存じでしたら教えてください。
さて、このパワーポイント。カラビナを説明するときにすっごい便利な用語なんですよね。
メジャーアクシス強度と幅広ウェビングの関係
カラビナにはメジャーアクシス強度が刻印されています。このメジャーアクシス強度はどうやって測るのかというと、EN規格では「12mmの棒でパワーポイントを引っ張る」ことで計測されます。
ここで重要なのは「12mmの棒」という部分。このサイズのものでパワーポイントを引っ張ったときにだけメジャーアクシス強度は発揮されます。これがどういうことかわかります?
例えばリギング用の幅広ウェビングスリングありますよね。カラビナをあれでメジャーアクシス方向に引っ張るとどうなるでしょう。実はカラビナの破断強度は見事に低下します。また、ヒッチクライマーをセットアップしたカラビナも荷重域が幅広くなるので強度低下は起きています。
つまり、メジャーアクシス方向の荷重であっても、パワーポイント以外に荷重がかかるような状況では強度が低下する可能性があります。これは覚えておいて損はないと思います。
この12mmというサイズはたぶんロッククライミング業界からきていると思います。カラビナのEN規格「EN12275」は、国際山岳連盟が制定しているUIAA-121の試験方法に準拠しています。UIAAが先にあり、EN規格がそれに乗っかっています。ロッククライミング業界としてはそんな太いものをカラビナにセットすることがあまりないんでしょう。プロ仕様のカラビナ(例えばトライアクトタイプの安全環付きカラビナとか)は幅広荷重試験を追加で受けるようになったらいいのにね。
おまけ
ちなみに幅広荷重による強度低下はカラビナ形状にも左右されます。一般的に、変D型は低下しやすく、オーバル型とHMS型は低下しにくい傾向があります。これを説明できる人いますでしょうか。これを理路整然と説明できるようになったら、カラビナの構造についてずいぶん造詣が深まりまっせ。ヒントは「パワーポイントの位置」と「スパイン側とゲート側の荷重分散」です。上のイラストを見ながら考えたらわかりやすいかもですね。
まとめ
今回の記事では、パワーポイントを上下に引っ張るとメジャーアクシス強度になる。この一点だけ覚えてもらえればOKです。年末年始にかけてカラビナ話を書いていこうと考えていますが、そのときにこの用語を多用するはずです。
では近日中にカラビナ話を書きますのでお楽しみに!(←とか言って2カ月くらいほったらかしたらごめんなさい)