なんかもう秋ですね!皆さんお元気でしょうか。私はげんげん元気です。ブログの更新してないから「あいつ死んだんじゃね?」説も流れてたみたいですね。はっはっはっ。
そんなこんなで今回は「ダブルブレイドロープのストランド」に関するどうでもいいような話をお届けします。
クライミングロープ用だとほとんど24ストランドですが、リギング用やヒッチ用のロープだと20ストランドとか32ストランドとかもありますよね。クライミング用でもYaleのKernMasterは怒涛の48ストランドだったりします(そもそもあれはダブルブレイドなのかどうか怪しいですが)。
まあ自分のロープのストランド数くらいは知っておきたいですよね。そこでストランドの知識と数え方をご紹介します。スプライスをする人向けの情報です。
予備知識:ヤーンについて
ロープは繊維からできています。クライミング用のダブルブレイドロープならほぼすべてポリエステル繊維です。そして繊維の束を撚り合わせて一本の糸にするんですが、これをヤーンと呼びます。今回よく登場する言葉なので覚えといてくださいね。
撚る方向によってS撚りとZ撚りの2種類のヤーンがあり、ダブルブレイドロープの外皮はこのふたつを編むことによってできています(内芯もまたしかり)。
更に予備知識:タキオンでブロックを知ろう
ではここで写真を見てみましょう。私が所有しているタキオンちゃん(正確にはSherrillのLava)です。タキオンは24ストランドのダブルブレイドロープで、S撚りとZ撚りのヤーンがそれぞれ12本ずつです。
で、ヤーンを交互に編んで交差した部分はブロックが積み重なっているように見えます。このひとつひとつをブロックと呼ぶようにしましょう。これも今回よく登場する言葉なので覚えてください。
そしてタキオンは……24÷2=12
12個周期で同じストランドが現れます。つまり1個目のストランドを抜いたら12個目のストランドも抜けちゃいます。
ストランドの法則、ここに爆誕!
ではここで一番大事なことを書きます。
ストランドの法則……「1ストランドは1×2の長方形である」
値千金の知識なので覚えておくと便利ですよ。特にスプライスをする人。(あ、ストランドの法則というしょうもない命名はもちろん私です。)
上の写真であげたタキオンは、1ストランド=1ヤーンでできています。一番シンプルな構成です。じゃあ12ストランドロープのTenexTECならどうでしょう。写真を見てわかるように1ストランド=2ヤーンで構成されています。ヤーン数で言うと24本なので24ストランドと誤解する人がたまにいるんですが、そうではなく、ストランドの法則により2本のヤーンで1ストランドなので12ストランドです。
ストランドの法則において、何故1×2の長方形になるかについて説明します。下写真で灰色でかこまれたブロックがありますね。このストランドの下には逆撚りのストランドが2本通っています(下写真の赤色と黄緑色のストランド)。このストランドは灰色のストランドに対してそれぞれ1×1ぶん重なりあっています。この重なりが2つあるんだから1×2になる訳です。
オーシャンポリエステルの場合:2倍体の存在を知っておいてね
もうひとつ覚えてもらいたいものがあります。それは「2倍体」の存在です。私が勝手に命名しただけなので、もしかすると正式名称があるかもしれませんが、まあいいでしょう。誰か知ってたらこっそり教えてください(ハート)。
写真を見てください。みんな大好きオーシャンポリエステルです(写真のものは10mmのやつ)。ブロックをよく見ると正方形の形をしています。これが2倍体の特徴です。
タキオンはS撚りとZ撚りが一本ずつ交差しているのに対して、オーシャンポリエステルのような2倍体は2本が横並びにセットになって交差します。だからブロックが正方形になるんですが、これを1ストランドと数えたらダメ。ストランドの法則は絶対なので、正方形に見えているブロックは2ストランドになります。
オーシャンポリエステルは32ストランドですが、2倍体なので、ブロックで考えると…
32÷2÷2=8 (2で2回割るのはS撚りとZ撚りの分、そして2倍体の分)
8ブロック目に同じストランドが現れます(16ブロックではなく)。この事実はスプライスの時に大事です。
シリウスブルロープの場合:ややこしいけどかっこいい
ここまでの話、だいたい分かりました?では一番ややこしいパターンをご紹介します。下記の写真はシリウスブルロープ(14mm)です。32ストランドの2倍体で、しかも1ストランドが2本のヤーンで構成されています。つまり64ヤーン。ひとつのブロックには4本のヤーンが見えています。かっこいいですねえ。同じストランドはオーシャンポリエステルと同じく8ブロック周期で現れます。
おさらい
タキオンの場合:1ブロック=1ストランド、1ヤーン
TenexTECの場合:1ブロック=1ストランド、2ヤーン
オーシャンポリエステルの場合:1ブロック=2ストランド、2ヤーン
シリウスブルロープの場合:1ブロック=2ストランド、4ヤーン
・ストランドの法則 「1ストランドは1×2の長方形の形をとる」
・「2倍体」の存在
最後に:ストランドの数え方
最後になりましたが、ストランドの数え方をお伝えして今回の記事を終わりにしたいと思います。
ストランドの数え方
- 1、ブロックひとつにマークする。
- 2、円周方向に同じ撚り方向のブロックをぐるっと数える。
- 3、それを4倍するとそのロープのストランド数になる。
何故4倍するのかは書き出すと更に長くなるので割愛します。4は魔法の数字なんですよ。
ではではまた。もうちょっと更新頻度を上げていきたいものですね。
ホセさん
何処ではお話の相手をして頂きありがとうございました。現役世代の端にいる私にとっては皆さんバリバリで大変刺激になりました。
仕事も木からも落ちないように安全作業でいきましょうね!
わー、森のくまさん!返信遅くなってすみません!!
先日はお会いできて嬉しかったです!10ozでAPTA、できるとは思ってなかったので教えてくださってありがとうございます。またどこかでお会いできるのを楽しみにしていますねー!
ごぶさたしています。
「2倍体」凄く良いネーミングだと思います!
ロープって多重らせん構造だし、組成のゲノムが倍数体って、納得しやすく腑に落ちます。今まで2本で1セットのストランドって言ってましたが「2倍体」を使わせてもらって良いですか?
お久しぶりっすー!
2本で1セットのストランドという言い方だとTenex TECを思い浮かべてしまうんですが、私が2倍体と呼んでいるのは「2ストランドが並行している」ロープのことです。そこさえご理解いただければ、どうぞご自由にお使いくださいませ!
フリークライミングのロープは何打ちと言うんですか?
数えたら12っぽいんですけどこの場合何打ちって言うんですか?
素人です
よろしくお願いします
返信遅くなってすみません!
フリークライミング用のロープ(ダイナミックロープ)はほとんど知らないので確かな事は言えませんが、12本は少なすぎるので間違いかと思います。(私の手持ちのダイナミックロープ、エーデルリッドの11mmを数えたら40ストランドでした)
また、もし本当に12本なら12本打ちになりますが、実際のところそのロープが何本打ちかなんて全然重要じゃないです。
フリークライミングで使うロープはダイナミックロープである、二重構造になっている、外皮は編まれてて内芯を保護する役割がある、内芯は撚りロープの束になっていてほぼすべての強度を担う。この辺の事を知っていれば知識として充分だと思います。
うーんこれで回答になってますかね(汗)?疑問あれば返信くださいませ。